バナナ牛乳

2014.2.12

旅行で沖縄に十日ほど滞在しています。この写真のマグカップで民宿のおばあちゃんが朝バナナ牛乳を作ってくれました。僕はなぜかこのマグカップが気になり、おばあちゃんに「このカップいいですねえ、丈夫そうで物も良さそう」と言うと、「これはアメリカの兵隊さんにもらったのよ」とおばあちゃんは言いました。そしておばあちゃんは戦争の時の話をしてくれました。

まだおばあちゃんが子供だった頃、ここ沖縄は毎日のように爆撃を受け散々な状況だったらしいです。家族みんなで疎開した時の話や、自分のことをよく面倒見てくれたおじさんが、目の前で爆撃を受け、下半身がなくなり、みんなで助けようとしたけれども、もう助からないから仕方なくその場におじさんを置いて行った時の話をしてくれました。 「あの時、おじさんが、置いていかないでくれーと言った声が今でも耳に焼き付いて消えない。」とおばあちゃんは言っていました。壮絶な体験をされている人が目の前にいる。そう思うと僕は、なぜか申し訳ないような気持ちになりました。そしてなぜかはわからないけども、この話はちゃんと聞いておかなければダメだと本能的に感じました。

それからおばあちゃんは終戦後の話もしてくれました。戦争が終わってアメリカ兵がどんどん日本から出国しアメリカへ帰ろうとしている頃、沖縄は満足に食べ物もなく、とても貧しい状況だったといいます。そんな時戦争を終えたアメリカ兵は食べ物をくれたりしたそうです。そしてアメリカに帰るのでアメリカ兵達が使っていた生活用品などは不要なので色々とくれたらしいです。最初はおばあちゃんもアメリカ兵に近づくのは死ぬほど怖かったらしいです。近づいて来たら殺されると思ったらしいです。無理もありません。しかしアメリカ兵は思いのほか優しかったらしく、話しかけて来ていろんなものを置いて行ったそうです。その中の一つがこの写真のマグカップです。おばあちゃんは「このカップ落としたりしても全然割れたりしないよ」と笑顔で言っていました。

僕はそんなに壮絶なことがあって、少しはアメリカの事も恨んだり憎んだりしてるのかあ?と思いながらおばあちゃんの話を聞いていました。しかしおばあちゃんの顔にも態度にもそんな気持ちは全くなさそうでした。むしろ今もそのカップを感謝して使っているようにも見えました。「許す」ということの心の広さ。「誰も悪くない」と思う心の広さを、おばあちゃんの笑顔から感じました。朝出してもらったバナナ牛乳は格別な味でした。

ちなみにおばあちゃんが教えてくれたバナナ牛乳の作り方を書いておきます。バナナを一度凍らせて、常温で溶かしながら牛乳に入れます。一度バナナを凍らせることで甘みが増すらしいです。スプーンでカップの中のバナナをほぐしながら牛乳に溶かすイメージです。完全に溶けて混ざると完成です。砂糖など入れなくてもとても甘くて美味しいバナナ牛乳ができます。

コメント書いてくれると嬉しいです!

コメントが反映されるまで、少し時間がかかります。
名前、アドレス、URLは任意です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です