チャルメラ

夕暮れ時に遠くの方から笛の音が聞こえて来る。チャルメラの音だ。小さい頃、夜になると移動販売のラーメン屋さん、通称チャルメラがよく来ていて、音が聞こえると外に飛び出し、ラーメンを食べに行っていた。 最近は、僕の住んでいる場所ではまず見かけない。でも、子供の頃の刷り込みなのか、今でも遠くから似たような音を聴くとチャルメラかなと思ってしまう。
最近唯一見かけるのは大分県日田市あたりで営業している、「光ラーメン」だ。チャルメラの音を流しながら、ピカピカとネオンを光らせて走っている。60代位の気さくなご主人と、ニコニコしながらラーメンを作っている奥さん。ご主人が「これ見た事ある?」と、得意げに見せてくれたのは、なんとチャルメラの笛。昔、関西でこの笛を吹きながらリアカーを引いていたらしい。
この笛について面白い話をしてくれた。ある時、笛の音をカセットテープに録音すると便利だと思いついたのだそうだが、それが大変だったらしい。自宅で笛を吹いて録音すると、何度やっても家の前を走るトラックの轟音が入り、失敗。山の中ならどうか?と、山に行って笛を吹いて録音すると、鳥のさえずりが入り、なんとも癒し系なサウンドになり、失敗。これではいかんと山頂の方まで登り、開けた場所で録音すると、今度はやまびこでエコーがかかり、ファンタジーなサウンドになり、これまた失敗。「録音って難しいねえ」と楽しそうに言っていた。
ご主人は本当にラーメンが好きらしく、少しでも時間ができると色んなラーメン屋に行って味の研究をしているそうだ。昼間のうちにスープを仕込み、夕方に出発、朝方まで車で回るらしい。とても体力のいる大変な仕事だ。 好きじゃないととてもできない。ご主人の話を聞いていて僕は、カッコイイなあと思った。自分で考え自分で動く。責任も自分。そして夫婦二人三脚で仕事をしてるのを見て、ご主人と同じ位の年齢になった時に僕も何かの仕事を夫婦でやってたいなあと憧れてしまった。
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