いただきます。

2013.8.13

青春18切符を使って列車の旅をしています。福岡を出発して現在は三重県まで来ています。妻の友達が三重県の高校で教諭として働いているそうなので会いに行く事にしました。妻の友達が働いている学校は高等学校なのですが、全寮制で農業を専門に教えている農業高校だそうです。その友達はその学校で養鶏を専門に教えているそうです。今日はそこに宿泊できるスペースがあるという事なので、泊めてもらう事になりました。

学校に到着し部屋に案内され、宿泊施設に一泊、次の日の朝、妻の友達のはからいで農業のお手伝いをさせてもらえる事になりました。農業高校の生徒と朝一緒に農作業をするのは新鮮な気持ちでした。そのあとに妻の友達のいる鶏舎へ行きました。その友達が、縦長く建てられた鶏舎の中を餌を撒きながら走っているのを見て、僕は忍者かと思いました。ものすごいスピードなのです。やっぱり毎日こういうことをしていると、熟練してくるんだなあと感心しました。餌やりを終えたあと、その友達が「鳥を絞めてみる?」と言いました。僕は、ドキドキしながらも、「え?いいの?」と言いました。実は僕は以前から養鶏や養豚、畜産の事を妻から色々話を聞いていて、少し興味を持っていました。その友達は「いいよ、じゃ行こっか。」と僕らを連れて鳥を絞める場所まで連れて行ってくれました。

「今日絞める鳥は卵を産まなくなった老体の鳥を絞めるよ。」とその友達は言っていました。僕はなんだかわからないけど複雑な気分になりました。卵を産めなくなったら絞められるのか…と一人感傷に浸っていると、「じゃやるよー!」と声がかかりました。まず最初に鳥を絞める前にお祈りをします。この高校はキリスト系の学校なので僕らは教えてもらいながらお祈りをしました。三人で手を繋いでその友達が唱えるお祈りを僕ら二人は復唱しました。詳しい内容はよく覚えていないのですが、命に感謝しますみたいな文言だった気がします。僕は唱えている時になぜか勝手に涙が出そうになりました。今から僕らのために三羽の鳥が死ぬのです。今その瞬間が目の前に来ています。その友達はその後無言でしたが、僕達に何かを教えてくれようとしていると僕は感じました。とても大事なことを。そして鳥を絞め始める作業に入りました。包丁で頚動脈の所を斜めに切り、血が出てくると逆さにして血を抜きます。鳥も最初は、もがいているのですがだんだんと静かになり、最後は息絶えて動かなくなります。動かなくなったら大きな回転する釜のような機械に入れ、その機械が毛をある程度抜いてくれます。その後抜けきれなかった毛を手でむしって、包丁で部位ごとにさばいて行きます。その友達は慣れているからか鮮やかな手つきで鳥をさばいて行きます。どんどん部位ごとに分かれて行きいつも肉屋さんで見慣れている姿になりました。

僕は初めての経験だったのですが、経験できて本当に良かったと思いました。普段何気なく買っているお肉が、こんな過程を経てお肉になっているとは。なんとなく想像はしていましたが、実際に目の前でそれを体験すると全く意識が変わります。日々僕らは自然界のいろんな生き物のおかげで今日も生きていられるんだなあと強く感じました。日頃はそんな感謝も僕は忘れがちになります。誰かが鳥を絞めてくれてその鳥を誰かがさばいて僕らがお店で買っています。本当に頭が下がります。本当に貴重な体験でした。それから僕らが絞めた鳥はその後、唐揚げにしていただきました。若鳥ではなくかなりのご老体だったのでものすごい肉の硬さで一口で五分ほど噛んでなんとか食べれました。 命を、いただきます。そして、ごちそうさまでした。

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