餅つき

2019.1.7

僕は物心ついた頃から、人の家に行くのが好きだった。そんなに仲の良くない友達の家にも行っていた。何故そんなに人の家に行っていたのかは分からないが、とにかく気になる人の家には必ず遊びに行っていた。

色々な人の家に行くので、色々な遊びをした。ケイゾウ君という友達の家に遊びに行った時、正月でもないのに「餅つきをしよう!」と、自信満々に言ってきた。僕は当時5歳。餅つきをやったことがないので、彼の言うがまま了解した。どんな風に餅を作るのか、黙って見ていた。すると、ケイゾウ君は炊飯ジャーから保温されている米(もち米ではない)をシャモジですくい上げ、丸椅子の上にどさっと載せた。そして僕にピコピコハンマーを渡し、ケイゾウ君はカラーバットを持ち、お月様のうさぎのように、二人で汗だくになるまで叩いた。僕が、「なかなか餅にならないね。」と言うと、「もっと叩いて!」と、ケイゾウ君。だんだんくたびれてきた頃、玄関が開き、ケイゾウ君のお母さんが帰ってきた。「あんたたち、なんしよるの?」ケイゾウ君は、餅つきの手を止めず、お母さんの顔も見ずに、「餅つき。」と言った。お母さんは、「後はやっとくから、部屋で遊んどき」と言って、米粒だらけのピコピコハンマーとカラーバットを片付け始めた。僕は怒られるかなあ?と思ったが、お母さんは怒らなかった。ケイゾウ君が真剣な顔で、「次はちゃんとした餅を絶対作る!」と言うと、お母さんは「そうやね。」と言った。

もしかしたら、ケイゾウ君も餅つきをやったことがなかったのかもしれない。自分で考えて自分で行動し、そして失敗した。僕はそこに感心した。なんて意思があるんだろうと思った。その意思と想像力をお母さんは尊重した。その後、お母さんは焼いた餅を持ってきてくれた。餅を食べながらケイゾウ君は、「多分、水が足らんかったんよ!」と職人みたいな顔で僕に言っていた。もう次の餅つきを見据えている目をしていた。もし自分に子供がいて、同じ状況に出くわした時、僕ならどうするだろう?と想像してみた。多分笑いながらピコピコハンマーで子供の頭を叩くなあと思った。

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