量より質か、質より量か

僕はうなぎが大好きです。子どもの頃から、うなぎって美味しいけどなんでこんなに高いんだろうと思っていました。スーパーに売ってる外国産のうなぎを見ても高いなあ〜と思っていました。時は経ち大人になり、結婚し、初めて妻とうなぎを食べに行こうということになりました。
うなぎの美味しい店があると言うのです。場所は熊本県人吉市。「うなぎのしらいし」というお店です。お店に到着し、メニューを見ると、僕にはなかなか縁のない価格設定になっており、満足に食べようとすると、およそ一人五千円ほどかかります。五千円!!吉野家の牛丼並盛りに換算するとおよそ13杯。マクドナルドのハンバーガーに換算すると50個。当然、うまい棒なら500本です。500本!一日一本食べても一年以上は持つという計算になります。当時の僕のうなぎに対する捉え方と金銭感覚だとだいたいそんな風に思っていました。
目の前に出されたうなぎを食べてみると、衝撃でした。うなぎのことは詳しくありませんが、なんというか全く旨味が逃げていないのです。焼き具合も絶妙で、生焼け感もなく、逆に焦げ感もなく、ど真ん中の焼き具合。完璧です。一口噛んでみると、うなぎの身の弾力を感じながらも、身の内部はふわっとしていて、それが口の中で旨味と共に広がっていきます。ご飯が止まりません。そして肝の旨味が染み出している、肝吸い。至福のひと時です。食べ終わる頃に、僕の脳では処理しきれない革命が起きました。今までは、うなぎ=高い。という公式だったのですが、うなぎは高いーそれ以上に旨い=安い。という公式になってしまいました。つまり、五千円払ってもこれは安い!と思ってしまったのです。もう吉野家やマクドナルド、うまい棒とお別れしようかな…と心の中で思い始めました。五千円なのにです。しかし冷静に考えると、うなぎの鮮度、捌き方、焼き方、タレの味付け、それを五千円でやってみろと言われても絶対にできません。(もちろん吉野家の牛丼を380円で作れ!と言われてもできませんが、それっぽいのは作れるかも…)
ファストフード食べる分を貯金に回して一年に一度でも食べに来ようかな…と思いました。それくらい美味しかったです。それから不思議なことに、あまりファストフードは食べなくなりました。考え方が変わり、例えば、「あと8回牛丼我慢すればうなぎが食べれる。」と考えるようになりました。妙な思考回路の変革ですが、食事だけではなく、生活全てに於いて量より質になって来ています。高いには高いなりの理由があるのです。たくさんの人の手がかかり、手間がかかり、エネルギーがかかっています。洋服や革製品なんかはわかりやすくて、値段が高い方が長持ちするし、手入れ次第では一生モノも沢山あります。そして目には見えませんが、その商品を作った人の雰囲気やエネルギーをなんとなく感じれたとき、なぜか少し幸せな気分になります。うまい棒を10円だと思って無尽蔵に食べまくっていたあの頃のアホな僕に言ってやりたい、「量じゃないよ、質だよ。」と。
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