映画 2018.2.17

アルバート氏の人生  ( Albert Nobbs )

公開2011 年
製作国イギリス / アイルランド / アメリカ合衆国 / フランス
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物語の舞台は、19世紀のアイルランド。階級制や貴族の文化も色濃く残る時代。主人公のアルバート・ノッブスは、高級とは言えない、がめつい女主人が経営するホテルで、住み込みのウェイターとして40年勤めている。彼はとても真面目で気配りができ、周りからの信頼も厚いウェイターである。そんなアルバートは極力他人とは関係を持たない。日々淡々と仕事をし、寝る前に貰ったチップを数え、自分の部屋の床下にこっそり貯金をし続けている。そんな彼には秘密があった。40年間誰にも知られずにいるが、実は彼は男性ではなく女性なのだ。この物語は、彼がなぜそのような人生を選び今日まで生きてきたかを淡々と過ぎていくホテルの日常を舞台に描かれている。

主演女優であり、この映画の製作・主演・共同脚色・主題歌の作詞の4役を務めた、グレン・クローズはなんと、この映画を作るまでに30年もの時間を費やしてきたとのこと。若い頃にこの役をブロードウェイで演じており、必ず映画化したいと思っていたようで、映画化の権利を自分で取得したり、映画制作の予算をずっと貯金しては何度も計画がダメになったりし、今回ようやく長年の願いが叶ったとの事。それだけの思いがあるからこその映画の完成度。ストーリー自体はシンプルながらも、その奥には複雑で繊細な人間の心模様があり、そんな微妙な心情を、円熟した確かな演技力で演じきる俳優陣たち。キャストやメイクアップ、時代背景の表現、極限まで無駄を省いた構成。この映画を見始めてから最後まで、目が離せませんでした。映画の中にどんどん引き込まれていくのでストーリーが勝手に頭に入ってくる感じでした。

ストーリーから感じたことは、「自分が自分であることの大切さ」。普段生活をしていて僕はなかなか、「自分が自分である事の大切さ」を意識することはありません。映画の中でほとんど嬉しそうにはしない彼女ですが、一度だけ心の底から笑ったような笑顔を見せます。その時の純粋無垢な表情を見ると、ありのままの自分で生きるいうのは素晴らしい事なんだなあと感じました。意識でも体でもない「心」の部分をこの映画で感じれたような気がします。見る人にとって様々な学びが散りばめられた、良い作品だと思います。

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