映画 2019.2.21

ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜  ( Monsieur Chocolat )

公開2016 年
製作国フランス
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ショコラと聞くと、なんだか美味しそうな響きですね。この映画は、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけてフランスで活躍した黒人芸人の物語。実話を基にした小説「ショコラ(ジェラール・ノワリエル著)」が原作です。

20世紀(1901年〜)に入るという時代の変貌の時でもあり、世の中は変わりつつありました。
そんな時代の中、フティットという白人の道化師が居ました。一時期は時代を風靡した有名芸人だったのですが、そんな彼もまた、時代の変化に翻弄されていました。彼が珍妙な動きをするだけで世の中ではウケていたのに、その頃は、もっと珍しいものを見ないとウケなくなっていたのです。例えば、「小さい人間」や「人喰い人種」など、見世物小屋でありそうなものに人々の関心は移っていました。
それなら、とんでもなく新しいことをしよう!と根っからの芸人であるフティットは立ち上がります。なんと、黒人とコンビを組んだのです。まだ何処と無く黒人を下に見ている様な時代の中、黒人と手を組むということは誰も思いもしなかったのでしょう。ひょんな事から、とあるサーカス団で働いていた黒人ラファエルと出会い、コンビの話を持ちかけました。世の中の「黒人が怖い」という印象を変えて、親しみを持ちやすいよう、黒人の名前をショコラ(チョコレート)に変えました。短気な白人ピエロ「フティット」といつも笑顔の黒人「ショコラ」が、些細なことで喧嘩してドンチャン騒ぎをする。この芸風で、人々は大爆笑をし、大人気のコンビとなったのです。

その時代のフランスで人気になった黒人なんて居なかったので、彼に焦点を当てた映画です。それをフティットの目線で描いてます。フティットの生い立ちや、どういう経緯で芸人になったのかなどは映画には出てこない(本には出てくるのでしょうか?)ので考察しがたいですが、彼はとても真面目な芸人です。そんな時代であるにも関わらず、酒やギャンブルに逃げることなく、淡々と働いてます。彼の「笑い」に対する哲学は、もはや職人レベル。一方ショコラは、父親が奴隷として働かされていたことなどのトラウマから、奴隷よりは楽に生きれるからとサーカスに雇われた身。フティットと組んだことで人気が出て、お金もたくさん入り、女性にも苦労せず、お酒にギャンブル、アヘンにまで手を出したりと、芸の練習をおろそかにして遊び回ります。そしていつしかフティットへの感謝を忘れ、独りよがりな方向へと突き進んでいってしまうのです。。

フティットとショコラの、コンビとしての成功と、それぞれの苦悩。育った環境も人間性も、人種までもが違う二人が、お互いに歩み寄り、思いやり、理解し合った時間は確実にあったのです。2人は、足りないものを補い合ったベストコンビだったのかもしれません。

ところで、冒頭で書きましたが、これは実話を元にしています。なんと、当時のフティットとショコラの映像が奇跡的に残っているのです。凄いことですね。

それからもうひとつ。フティット役を演じるジェームス・ティエレの演技に私は見入ってしまったのですが、彼の本業はサーカス。そして彼の祖父は、あのチャップリン。お母さんのお父さんがチャーリー・チャップリンです。チャップリンの若い頃の写真は、フティットと瓜二つです。

ライン

映画の予告編

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